教育技術ゼミ
教育工学(4)
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.46-47
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906158
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前号までは,主として教育工学の第一の意味,つまり工学技術の成果を教育のなかに取り入れることについて述べてきた。今回からは教育工学の第二の意味,つまり行動科学の教育への適用ということについて述べる。教育工学の第一の意味というのは言葉を換えていえば,教育の機械化ということであった。教師の仕事はそのすべてではないにしても,かなりの部分を機械によって代行させられることがわかってきたし,また,機械に代行させないまでも,機械的な装置を教師の補助として使うことによって,教育の効果を向上させることができるということも,現実に証明されている。そして工学技術の発達はそういう機械を次々に作り出し,教育界に送り込んでいる。最近では複雑な処理を高速で行なうことのできる電子計算機のような機械も教育に利用されるようになった。
そのために教育の科学化とか,近代化という言葉が教育の機械化ということとほとんど同じ意味で使われるようになり,教育に機械を持ち込みさえすれば,それで教育が科学化され,近代化されるのだというように誤解されていることも少なくはない。教育工学という言葉も,これと同じように単に教育に工学技術の成果を取り入れるという第一の意味でだけ用いられることがある。
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