教育技術ゼミ
教育工学(6)—行動の形成
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.42-43
発行日 1969年6月1日
Published Date 1969/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906189
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オペラント条件づけでは,条件づけられる反応が強化に先立って,まず自発されなくてはならない。このことはその反応を学習させようとする者にとっては厄介な問題を提供することになる。もし,学習者がその反応をしばしば自ら行ない,それを容易に強化することができるとするなら,その反応はすでに学習の必要のない反応である。
学習させることが必要な反応というのは,もともと学習以前にはほとんど自発されない反応であり,それの自発確率を高めるということが,学習させるということなのである。しかし,その反応がほとんど自発されないということは,したがってそれを強化することがほとんどできなということである。反応は強化されることによってその自発の確率が増す(学習される)のだから,強化ができないということは,結局学習させられないということになる。ここに学習指導上の厄介な問題があるのである。
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