教育技術ゼミ
教育工学(1)
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.48-49
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906105
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この10年間程の間,教師をはじめ教育に関心を持つ人々の間では,教育の機械化に関する論議が盛んに行われてきた。そして最近では教育の機械化に代って,教育工学ということばが使われるようになっている。教育を機械化するということでさえ,一部の人々にとっては有り得ないこと,あるいはあってはならないことと考えられているのに,教育と工学という,これまではとても結びつきそうにもないと思われていた概念が一つになって,新しいことばが生まれたわけである。このことは人類がその長い歴史の間絶えず行ってきた教育という仕事を,科学技術の革新という視点からあらためて考えなおさなければならないことを意味しているように思われる。
教育工学(Educational Engineering,Educational Technology)ということばは,まだ一定した定義を持つには至っていないが,A. A. Lumsdaineによれば,このことばは二とおりの意味に用いられている。一つは教育に対して工学技術の成果を応用することであり,もう一つは行動科学の工学化という意味である。もちろんラムズデインもいっているように,第一の意味の教育工学と第二の意味の教育工学とは,相互に無関係ではなく密接にかかわりあっている。
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