教育トピック
授業の改善—バズ法の利用
沼野 一男
1
1東邦大学
pp.44-45
発行日 1966年8月1日
Published Date 1966/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905688
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□新しい授業方法には困難が伴う
この欄では,これまでティーチング・マシン,プログラム学習,ティーム・ティーチングなどの新しい教育方法を紹介してきた。これらの方法は,どれも従来の画一的な講義型武の授業を改善することを意図して生まれたものであり,現在,世界の多くの国々で盛んに研究や実践が行なわれているものである。しかし,こういう方法が広く一般の学校における教育方法として普及し,定着するためには,まだ相当の時日が必要であろう。新しい方法が一般に定着するには,そのために必要ないろいろの条件が充たされなければならないし,また,多くの先生たちが,その原理と方法について十分に理解し,そしゃくしていなければならないからである。この第二の点は特に重要である。生半可な飛びつき方をしたために,折角すぐれた教育方法が提唱されながら,それが一時のブーム的流行に終って,一般に普及定着しないでしまった例は戦後の日本の教育界に限ってみても,その数は少なくない。
プログラム学習やティーム・ティーチングを今すぐに授業のなかに取り入れることは困難でもあり,危険でもある。しかし,こうした新しい方法の提唱者たちが,あらためてわれわれの前にさらけ出してくれた従来の授業方法の欠陥については,それが自分たちの毎日の授業にも当てはまるのではないかということを反省してみることが必要であろう。
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