連載 コミュニケーション講座・4
コミュニケーションのむずかしさ(3)
杉 政孝
1
1立教大学
pp.40-43
発行日 1966年8月1日
Published Date 1966/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905687
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意味連関にはパースナリティーが反映する
コミュニケーションは,個別的な単語や語句をバラバラに伝えるだけではなく,それらを組み合わせてまとまった複雑な意味を伝えることが本来の目的であることを理解していただくために,前回では,伝達される意味連関がたとえ個人によって話されているように見えても,実はそれがその時の社会における全体的な共通の考え方に制約されることを述べた。しかし,そうはいっても,同じ社会に生活しているすべての人が,同じ考え方をしたり,全く同じコミニュケーションの仕方をしたりするわけではない。われわれが日常の経験でよく知っているように,性別や年齢や学歴や職業などの条件がまったく同じである人々の間でも,いざコミュニケーションしようと思うと,考え方の違いや言葉の使い方の違いがあって,かならずしもスムーズにコミュニケーションができないことがある。それは,人間にはひとりひとりその人独持のパースナリティーというものがあって,その人がコミュニケーションの中で展開する意味連関の中にそのパースナリティーが反映するからである。したがって,コミュニケーションという現象を理解する場合に,その背後にある社会的なものの考え方だけでなく,コミュニケーションしあっている両当事者の個人的なパースナリティーの特徴をも考えに入れておかなければならない。
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