特別講義
看護の哲学―ナースが主役―ソクラテスに学ぶ
塩田 睦
1
1帝京高等看護学院
pp.544-548
発行日 2000年7月25日
Published Date 2000/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902293
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看護学生の看護哲学
看護学生と哲学を学びはじめて,特別に「看護学生の看護哲学」が必要である,と痛感している.
その第1の理由は,看護学生も含めて,看護者・ナースたちは,固有の生命への感覚,いのちのセンスを持っていて,そこから人間や生活,患者や病気を見,社会や世界を見ているからである.それは,いのちへの深い関心(care)と結びついたひとつの潜在的な哲学であり,また人間のいのちへの共感(empathy)によって働く,行動的な哲学でもある1).これは看護者固有の資質であって,この資質こそ大切に保護され,育てられ,さらに看護者・ナース自らによって,自覚発展させられることが望ましい.ソクラテスも言うように,もし「哲学」に何らかの役割があるとしたら,このナース自らの内なる資質の自覚発展を援助する,助産婦役(こちらもまた援助されるのだが)ということであろう2).
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