医道そぞろ歩き—医学史の視点から・24
シルヴィウスのソクラテス的教育
二宮 陸雄
1
1二宮内科
pp.792-793
発行日 1997年4月10日
Published Date 1997/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904480
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ライデン大学創設後間もない16世紀の末頃,医学教授はパドヴァ大学から招かれた.パドヴァ大学では,『ファブリカ』を出版して非難を浴びたヴェサリウスがパドヴァを離れた1543年に,モンタヌスが初めてベッドサイド教育を始めており,パドヴァ大学から来た教授たちもこれを踏襲しようとしたはずである.しかし,その実現は1636年まで見送られた.その前年,ライデンから50kmしか離れていないユトレヒトに大学ができると聞いて,学生をとられてしまうと危機感を抱いたライデン大学は急いで臨床教育の施設(実地医学コレギウム)を設立することに決めた.
この病院の患者はライデンの町医者が治療するのだが,教授が臨床講義に出す患者を選ぶと,町医者2人がその当日教授の家に行って,教授と病院まで同行するという取り決めになった.初め,教授は患者を前にして学生たちに質問したが,このやり方は学生たちがいやがって取りやめになった.
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