Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
プラトンの『パイドン』—詩人としてのソクラテス
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.82
発行日 2019年1月10日
Published Date 2019/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201539
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プラトン(前427〜前347)40歳代の作品とされる『パイドン』(松永雄二訳,『プラトン全集1』,岩波書店)には,裁判で死刑判決を受けたソクラテスが,その後意外にも獄中で詩作を始めたことに関する会話が記されている.
『パイドン』の4章には,獄中のソクラテスをケべスという男が訪ねて,ソクラテスが最近,イソップ物語を詩の形に直したり,アポロン神への讃歌を作った理由を聞きたいと言い出す場面がある.ケべスは一昨日,エウエノスという詩人から,ソクラテスは以前は詩作などしなかったのに,ここに来て詩を作るようになったのは何を思ってのことかと,尋ねられたというのである.
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