特集2 領域連携にむけて知っておきたい 看護教育のキーワードと実践
―精神看護学―対象者のリカバリーの伴走者をめざして
大熊 恵子
1
1宮城大学看護学群看護学類
pp.92-97
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201898
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精神看護学は、人の心の機能(精神)の健康の保持増進と精神疾患・障害の予防、早期発見・治療、社会復帰を目的として看護ケアを提供するための学問である。これは、筆者が精神看護学をはじめて学んだ約30年前から変化していない。しかし、精神障害を有する人(以下、対象者)を取り巻く環境は大きく変化している。2004年に厚生労働省が示した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」では、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的な考え方が打ち出され、対象者の地域移行・地域定着が進められている。
また、対象者に対する医療者のかかわり方、考え方も変化しつつある。2000年頃、精神科病院で働いていた筆者は、多くの対象者が、退院すると服薬を止めてしまい、症状が悪化して再入院を繰り返す状況を目のあたりにし、どうすれば対象者が服薬管理をできるようになるのだろうかとずっと悩んでいた。当時は「服薬管理ができないのは問題なので、解決しなくてはならない。服薬の重要性を理解してもらう必要がある」という“看護師目線”での問題解決志向の考え方をしていた。
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