連載 優れた“わざ”をどう伝えるか 技術の「背後にある意味」を教える・7
認知症の人たちに学ぶ看護技術 コミュニケーション
阿保 順子
1
1北海道医療大学大学院看護福祉学研究科
pp.570-575
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200790
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見えてこない「看護における」コミュニケーション技術
「かかわる」「寄り添う」「ふれ合う」など,対人援助に関する用語を説明しようとすれば,どうしても抽象的にならざるを得ない。なかでも,意味が広すぎて定義の難しい言葉が「コミュニケーション」である。広義には,動物間の情報伝達と,社会生活を営む人間間の意思や感情,思考の相互伝達の,2つに分けられる。看護学においては,看護に共通する技術として後者の人間間のコミュニケーションの技術に位置づけられている。
テキストでは,後述するように,コミュニケーションの基礎知識から,看護との関係性,そして看護学におけるコミュニケーション技術と,一般的知識のレベルから看護で行われる専門的知識へ段階的に整理されて記載されている。臨床看護においては,そうして学んだことが統合されて,患者─看護師間の情報のやりとりや意思の疎通,関係形成などが行われている。看護実践に欠かすことのできない,それなしに看護は不能であるのがコミュニケーション技術である。だから,その過程についても,プロセスレコードやリフレクションなどを用いて反省的に検証されたり,推進されたりする大事な看護技術である。
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