連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第21回
認知症の人とのコミュニケーションが開く気づきと対話の旅〈その2〉
中島 紀惠子
1,2
1新潟県立看護大学
2北海道医療大学
pp.60-61
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201102
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認知症の人の語りから始まる自己との対話
認知症臨床研究のパイオニアである長谷川和夫先生が自分の認知症を公表されてから、もう1年近くになるが、つい先日、NHK総合『ニュースウォッチ9』に出演されて、「認知症になると少しずつわからないことが増えると思っていたけど、違いましたね。わかることが結構あるんですよ。対応力がつくんですね。習慣にしている日課を変えないで、いつも通りに過ごすようにしています。それと、伴侶がこれほどに分身に近い存在だったとはわかっていませんでしたね」と、いつも通りの、人を包み込むような口調で話されていた。
分水嶺を越える旅人の旗手、日本認知症本人ワーキンググループ共同代表の藤田和子さんは、45歳のときに若年性認知症の診断を受けてもう10年ほどになるが、「認知症になったばかりの頃は、いろんなことに失敗ばかりしていました。でも、2年、3年、5年と経つうちに、どうしたらいいかがだんだんわかってきました。症状が進んでいくとともに対応力がついてきました」と言われる。
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