認知症の基礎知識とリハビリテーション
9.認知症におけるコミュニケーションのコツ
大庭 輝
1
1弘前大学大学院保健学研究科
キーワード:
認知機能
,
神経心理学
,
孤独感
Keyword:
認知機能
,
神経心理学
,
孤独感
pp.277-281
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/cr033030277
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はじめに
われわれは日頃から言語を用いて他者と意思疎通をしている.意思疎通だけでなく,自らの頭の中で言語を操ったり,文字に起こしたりして,さまざまなことを考えることができる.普段何気なく使用している言語であるが,人間は言語を用いてコミュニケーションをとり高度な文明を築いてきた.この事実を考えてみるだけでも,言語を操ることがどれだけ複雑な行為であるかは理解できるだろう.
認知症は何かしらの原因により脳に器質的・機能的障害を受けることにより認知機能の低下をきたす.言語は障害される機能の1つであるが,他者とコミュニケーションを行うためには言語能力だけでなく,注意や記憶等,さまざまな機能をうまく働かせる必要がある.また,コミュニケーションは単なる言葉のやりとりではなく,そこでは多くの感情のやりとりも行われている.認知症の人とのコミュニケーションについて考えるうえでは,高次脳機能や感情の働きについて理解することが不可欠である.本稿では,われわれは認知症の人とコミュニケーションをどのように取ることができるのか,心理学の視点から考えてみたい.
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