- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
筆者は,精神科単科病院(400床)の認知症疾患医療センターに専任で勤務している.石川県立こころの病院(以下,当院)は,認知症疾患医療センターとして,石川県の石川中央医療福祉圏域5市5町と連携し(図1),医療から地域生活まで幅広く認知症の人への支援を推進している.
認知症疾患医療センターの主な業務として,① かかりつけ医との連携による鑑別診断,② 本人や家族,医療福祉などの関係機関からの認知症に関する医療等相談,③ 診断後の在宅生活の日常生活〔就労を含む手段的日常生活動作(instrumental activities of daily living:IADL)や日常生活動作(activities of daily living:ADL)〕の自立継続に向けた支援,④ 市町村等事業への支援,⑤ 医療福祉専門職に対する研修を実施している.
また,当院の作業療法士としては,外来精神科作業療法として,① 認知症の人たちに対するコミュニケーションの場の提供(セルフヘルプグループの場の提供),② 本人の能力を活用した趣味活動の場や運動の機会の提供,③ 通所サービスにつながるまでの孤立予防や閉じこもり防止としての場の提供,④ 家族の交流の場の提供を行っている.
特に,作業療法士として行っている「セルフヘルプグループの場の提供」については,外来患者から「誰とも話す機会がない」,「ほかに自分と同じような人がいるのだろうか」,「認知症の人たちはどうしているのか」などの声を受けて,週1回30〜60分の時間を設け,話し合いの場を提供している.
本稿では,認知症疾患医療センターでの作業療法士としての実践から,コミュニケーションスキルへの取り組みを中心に報告する.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.