特集 ピアの力を信じよう 学生同士で教え合うしくみの活用
対話で理解を深化させる授業デザイン
三宅 なほみ
1
1東京大学 総合教育研究センター
pp.405-411
発行日 2014年5月25日
Published Date 2014/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102699
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協調問題解決型授業の1つとしてのピア学習
今回の特集のテーマ『ピアの力を活かす学習』は,世界規模で起きている学習についての考え方の変化に即していうと,「学習者中心主義に基づく」「知識や理解の社会的構成を基本理論とする協調的な学習」のなかでも,比較的能力や年齢の近い学習者同士を一緒にして学習の場を設計する授業デザインを扱う場合に使われる名称である。したがって現在ピア学習と呼ばれている形態で実践されている授業のなかには,設計原理も活動の組み方も多様なものが混在して,一定の成果が得られているわけではない。例えば,ピアの力が1人ひとりの学習の質を上げる仕組みの根底にあるのは,互いに「学び合う(答えのまだない問いに答えを考え合う)」関係の構築であって,「答えを教え合う」関係ではないが,そのことを詳しく解明した研究や論文の数はまだそう多くはない。
そのような現状への1つの試論として,本論では,以下のことをそれぞれ解説する。
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