特集 ピアの力を信じよう 学生同士で教え合うしくみの活用
大規模講義で行うアクティブラーニング ピア・インストラクション
蒋 妍
1
1京都大学高等教育研究開発推進センター
pp.398-404
発行日 2014年5月25日
Published Date 2014/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102698
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ピア・インストラクションとは
ピア・インストラクションの概要
ピア・インストラクション(Peer Instruction,以下,PI)とは,ハーバード大学の物理学者であるエリック・マズール(Eric Mazur)によって提唱されたアクティブラーニングの技法である1)。学生の授業外学習をベースに,ConcepTest(概念を測定する質問)とピア・ディスカッション(学生同士のディスカッション)を用いることに特徴があり,大人数講義でも実施可能である。
PIは,内容への学生の深い理解,問題解決能力,授業満足度,授業出席率などの改善に役立つことが明らかにされている。特に物理の分野で,伝統的・一方通行な講義スタイルより,学生の学習成果が高いことが明らかになっており,化学や地質学,経済学,哲学,心理学,天文学,微積分などの分野でも同じ知見が見られている。米国,英国,デンマーク,中国,韓国など世界中で実践されており,MIT(マサチューセッツ工科大学)のTEAL(Technology Enabled Active Learning)という教室で用いられている教育方法もPIである。日本では,高校での実践は報告されているが2),大学での実践,特に理工系以外の授業では十分に実践されていない。
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