特集 授業研究のすすめ
授業研究が教員にもたらすもの
新保 幸洋
1
1東邦大学教職課程
pp.16-23
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102600
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はじめに
看護教員の仕事は多岐にわたるが,その中核部分に授業が位置づけられることには誰しも異論はないであろう。実際教員によって違いはあるものの,1日何時間も講義,演習,実習に費やしており,そこに投じられるエネルギーは相当なものである。そして,これらの授業の質的な蓄積の違いが,最終的には学生たちの育ちの違いとなって現れてくる。つまり教員自身が担当する日々の授業の質をどう向上させられるかは,極めて重要な教育課題なのである。
しかし,その一方で,授業の質を向上させるうえで極めて有効な手段の1つとされる授業研究が,看護教育の現場で熱心に行われているかどうかを見てみると,意外にもそうなっていない現実に気づかされる。むしろ敬遠され気味であり,あまり定着しているようには見えない。これはなぜであろうか。本稿では,看護教員にとって授業研究を行うことが必要不可欠であり,教える人としての教員自身の成長に大きく寄与する有益なものであることを述べたいと思う。そして授業研究を妨げるさまざまな要因についても考察し,それら1つひとつをクリアしていくことによって,授業研究が看護教育の現場に定着し,授業やカリキュラムの改革,ひいては学校改革へとつながっていくことを示したい。なぜなら授業研究は教育改革の要だからである。
なお,本稿では小・中・高・短大・大学・特別支援学校などで看護学以外の領域を教えている人を一般教員と呼び,看護学を専門領域として教えている人を看護教員と呼んで,一応区別して論じることにしたい。
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