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はじめに
平成19年4月16日付けで「看護の基礎教育の充実に関する検討会」の報告書1)(以下,検討会,および報告書)が公表された。平成21年4月1日からの適用が予定されている。各教育現場では,改正に向け自校の実践カリキュラム構築の準備が進められ始めている。
看護基礎教育のカリキュラムは,今まで昭和26年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則の制定以降3回の改正が行われ,今回が4回目となる。それぞれ,看護を取り巻く社会,医療情勢から生じた看護職への期待・要求と,看護者自身が看護を探求し,育ってほしい看護職員像を思い描き,それら双方向から検討され変化してきた。それでは,今回のカリキュラム改正の趣旨はどうなのであろうか。現行のカリキュラムと何がどのように変わったのか,なぜそのような変化が必要なのであろうか。
報告書の冒頭には「看護をめぐる環境は,急速な少子高齢化の進展,医療技術の進歩等大きく変化してきており,看護職員にはより患者の視点に立った質の高い看護の提供が求められている」とし,それらに対応した基礎教育の必要性が背景として述べられている。今回,計9回行われた検討会では,それらにどう対応していくかということで,基礎教育の年限を含めた検討と卒後の臨床研修制度の必要性がくり返し話し合われた。しかし,この2つの事項は今後の検討課題となり,現行の教育期限の範囲内での可能な内容という限定内での改正にとどまった。このような制約のある改正ではあるが,前回の改正から約10年が経過していることを考えると,各校で現行カリキュラムを評価し,実際にこの間,教育を実践しながら調整してきたものを踏まえ,再構築する機会でもあると考える。
筆者は検討会の委員でもあったので,本稿では検討会のメンバーの立場から,さらに,実際に自校(専門学校)で看護師教育のカリキュラムを組み立てていく立場で,報告書の解釈や課題を述べてみたい。
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