Japanese
English
第31回日本看護科学学会学術集会 会長講演
看護の知の構築に向けての方略
Strategies for the Construction of Wisdom in Nursing
野嶋 佐由美
1
1高知県立大学
pp.72-76
発行日 2012年6月20日
Published Date 2012/6/20
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
「看護は専門職か?」「看護学の価値は?」―これは,筆者が四十数年前から問い続けている課題である.筆者が看護を学び始めた当時,高知女子大学では,芝田不二男氏1)が「看護哲学」を開講され,そこで,看護や看護学の価値,人が人を支えることの意味について問うなかで,樋口康子氏2)の論文「テクニシャンからプロフェッションへ」に勇気づけられた.また,南裕子氏3)からは「看護はサイエンスでありアートである」ことを学び,看護は一回性の芸術なのだと胸をときめかしたことも思い出す.そのころは看護系大学もわずかであり,看護系の雑誌数も限られていた時代であった.
その後,科学や社会の発展とともに,看護系大学は200校となり,看護系大学院で修士課程を有する大学は131校,博士課程を有する大学62校へと発展を遂げている.また,多数の看護学雑誌が発刊され,各専門分野の看護系学会が誕生し,さらに看護界が力を合わせて,日本看護系大学協議会(1974年),そして日本看護系学会協議会(2001年)などを設立し,活動を積み重ねてきた.これらの活動の積み重ねが,日本学術学会看護分科会(日本学術会議健康・生活科学委員会看護学分科会)の設置(2005年)へとつながり,看護をリードする重要な見解や提言が,看護界のみならず社会に向けて発信されるようになり,看護の価値も高まってきている.しかしその一方で,「看護は専門職としての自律性を確立しているか?」という問いは,今なお,我々の前に立ちはだかっている.
Copyright © 2012, Japan Academy of Nursing Science. All rights reserved.