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はじめに
福岡県立大学がある福岡県田川市は筑豊地区の中心にあり,五木寛之の『青春の門』1)でも有名な旧産炭地である。筑豊人の気質は気風のよさと豪胆さであり,そのことは同書にも詳しいが,毎年5月に行われる勇壮な川渡り神幸祭や炭坑節にもその一端が表れている。川渡り神幸祭や盆踊り大会には当大学の学生や教職員も毎年参加し,地域とのつながりを深めている。
また,筑豊市民大学(公開講座)や筑豊地区をフィールドにした研究活動で大学が地域貢献するとともに,「福岡県立大学と共に歩む会」*の活動に示されるように,市民もまた大学を強力にサポートしてくれている。
このような背景の中,当大学は2003年4月に既存の人間社会学部に加え看護学部を新設し,福岡県の保健・医療・福祉の中核的担い手を育成する総合大学として生まれ変わった。また,来年度からは独立行政法人化することが決まっており,現在その準備に全学的に取り組んでいる。
看護学部(以下,本学)は,「ケアリング」2)を基本理念とし,実習教育においては「経験型実習教育」3)を旨として,安酸史子学部長を先頭に総勢60名の教員が主体的で探求的なより質の高い人材育成を目指して教育研究活動に従事している。
本学は大講座制をとっており,実験看護学講座,基礎看護学講座,成人・老年看護学講座,小児・母性看護学講座,地域・国際看護学講座,臨床機能看護学講座の6大講座からなる。その中で,精神看護学小講座は看護の基本となる領域として基礎看護学講座に位置し,精神看護学とともに,日本で初めて看護基礎教育の中で文部科学省から認可されたヒーリング学を教授している。1学年の定員は80名であるが,今年度からは3年次に編入生20名が加わり,1学年100名の体制になっている。
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