特集 看護学実習 教員・指導者・学生,三者の体験から
第3部 「経験型実習教育」を探求して
福岡県立大学看護学部の取り組み
学習効果を高めるために必要な臨床と大学の連携
安永 薫梨
1
,
松枝 美智子
1
,
中津川 順子
1
,
安田 妙子
1
,
村島 さい子
1
1福岡県立大学看護学部
pp.1028-1034
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100172
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はじめに
精神科病棟における看護学実習とは,「知識・技術を看護実践の場に適用し,看護理論と実践を結びつけて理解する能力を養う内容とする」1, 2)と指定規則の留意点にある。安酸は,将来にわたって看護の諸技能を看護技術に,そしてアートにまで高めていくためには,教員が与えた行動目標を達成するという従来の実習教育から,学生の直接的経験を反省的経験に高めながら,理論と実践をつなぐ「経験型実習教育」への転換を図ることを提唱している。福岡県立大学看護学部(以下,本学)ではこの経験型実習を教育の根幹にすえている。
錦織は実習環境改善のための取り組みとして,実習施設・学校間の会議,臨床指導者会議,精神看護学実習担当者会議を実施したと報告している3)。作田は急性期・回復期看護実習において,臨床指導者と教員の役割と責任の明確化,連携の工夫として専門職としての対等性の確保に立つ相互理解,ミーティングにより指導チームという意識を育んだことを報告している4)。小林は臨床実習の教育効果を上げるためには,教育と臨床が実習の目的・目標を共有し,連携して教育に携わることが不可欠として,教員,学生,看護師長,看護師で行う臨床カンファレンスを行ったと報告している5)。
このように臨床と大学の連携をよくするために,臨床指導者会議や臨床指導者と教員の役割の明確化,相互理解,実習目標の共有,臨床カンファレンスを実施したという報告がある。しかし,経験型精神看護実習において,具体的に臨床と大学が実習中にどのような連携をとったのかは明らかにされていないので,今回,事例を通して臨床と大学の連携のあり方を振り返りってみたい。
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