特集 病院と看護学校
院内実習指導体制
寺島 敏子
1
1諏訪赤十字病院看護部
pp.34-37
発行日 1976年6月1日
Published Date 1976/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205921
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はじめに
看護学生の院内実習指導体制という課題について考えていることを述べたい.高等看護学院3年課程カリキュラムの総時間数の43%を占めている実習の意義は,また必要性は今さら問うまでもないが,この臨床実習を受けとめる病院においては,大きなエネルギーを必要とし,また,より質の高い看護の場を提供しなければならない.保健医療の中で看護が幅広い分野を占め,総合看護さらに看護の継続性と看護の概念の拡大など,戦後非常な革新をみている.
最近は看護に関する雑誌も増え,また看護理論等々が内外で論ぜられているが,現場の臨床では,どこまで看護を明確化し,主体的に受けとめ,実践されているか,私は,はなはだ疑問に思う.科学的な,また理論的な看護が現場で統合され,実践展開されなければ看護は無に等しく,本質的な機能に答えることができない.看護は看護婦と患者のかかわりあいの中から生まれ,そして,これが患者のためになり,実践継続されてはじめて意味がある.学生の看護実習も何が看護であるか,という看護の概念の明確な認識に基づいて,学生が患者との真剣なかかわりあいを通じて,その患者のさまざまな健康レベルに対応する看護活動が何であるかを体得することを基本的な目的としている.以下,諏訪赤十字病院の現況をふまえて,病院における看護学生の臨床教育について述べてみたい.
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