研究
大学生の非喫煙行動決定要因について
伊藤 直子
1
,
水上 由夏
1
,
北原 真理子
1
,
坂元 光子
1
,
内藤 亜理
1
,
野口 京子
1
,
山田 奈緒子
2
1西南女学院大学保健福祉学部看護学科(前福岡県立看護専門学校保健学科)
2福岡県立看護専門学校保健学科
pp.34-40
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902126
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要約
現在,喫煙防止教育の多くは身体面への影響に焦点をあてた指導がなされている。しかし,喫煙率は先進諸国のなかでも高率であり,喫煙者の低年齢化や女性の喫煙率の増加など課題は多い。従来の地域や学校での喫煙防止教育や取り組みが現在の課題に対し,歯止めをかけられるのか疑問である。そこで喫煙防止教育のあり方を検討する上で,喫煙者ではなく非喫煙者の立場からその行動を決定している要因を明らかにすることとした。
対象は,18歳から22歳までの大学生とし,住居環境や家族喫煙の有無との関連,喫煙に対する考えおよび喫煙行動に影響を与えている情報経路などを喫煙群と非喫煙群に分けて分析した。
本研究において,住居環境や家族喫煙の有無とは関連せず,喫煙に対する叱責についても効果がみられないことがわかった。それよりむしろ喫煙に対する考えによって喫煙行動を決定していることが明らかとなり,情緒的・倫理的および社会的側面が強く影響していることがわかった。非喫煙行動を促すには個人の価値観や人に左右されない強固な信念を形成することが有効であるという結論に至った。若年者や女性の喫煙が増加する現代,わが国の喫煙防止教育も見直されつつあるが,ただ単に喫煙行動を規制するよりも,他人の言動に揺るがない強い信念を幼いころから能動的に獲得していけるよう働きかけることが,今後の喫煙防止教育の鍵となると考える。
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