看護教育研究
看護系大学生の喫煙経験と喫煙に対する意識―非医療系大学生との比較
大浦 麻絵
1
,
鷲尾 昌一
1
,
丸山 知子
2
,
森岡 聖次
3
,
森 満
1
1札幌医科大学医学部公衆衛生学
2札幌医科大学保健医療学部看護学
3和歌山県田辺保健所
pp.470-474
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100414
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はじめに
喫煙は,肺がん,食道がん,口腔がん,中咽頭・喉頭がんなどの相対危険度を2以上上昇させる悪影響を与えることが報告されている1)。また,女性の喫煙は,男性の同量の喫煙よりも,肺がんのリスクを高めるとの報告2)もある。世界保健機関(World Health Organization ; WHO)は1970年の世界保健総会(World Health Association ; WHA)における決議採択以降,たばこの有害性を広く伝えることが健康政策において重要任務であると位置づけており3),近年わが国でも,たばこの有害性に対する意識が高まり,各機関において分煙・禁煙対策が実施されている4)。
しかし,大井田ら5)が1992年に看護師を対象に全国調査を行った報告によれば,女性看護師の喫煙率は18.5%5)であり,平成13年の国民生活基礎調査6)での一般女性の喫煙率14.0%5)よりも高かった。看護師は,単に「自己決定権」の原理に基づいて判断するだけでは対処ができない様々な問題の中に身を置いている7)医療の専門職集団である。看護職には高い倫理性が求められ,患者のケアを行うものとして,常にケアの質を高めていく努力が求められる7)。しかし,世界的に女性看護師の喫煙率は高く8),WHOは保健医療従事者や保健医療機関での禁煙を勧告している3)。
今回われわれは,将来,看護職に就く看護系大学の学生と,非医療系大学,および短期大学の学生を対象に喫煙経験と現在の喫煙状況についてのアンケート調査を行ったので,文献的考察を加え報告する。
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