連載 保健活動の〈見直し〉から〈見通し〉へ・13
保健医療活動における〈技術〉を場的視点で語る
花岡 真佐子
1
,
西村 かおる
2
,
小山 修
3
,
丸地 信弘
4
1慶大医学部附属厚生女子学院
2東京衛生病院
3日本総合愛育研究所
4東大医学部保健学科
pp.462-471
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206848
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
PHC研究会では《場的視点》を1〜5)提唱し,現場ワーカー自身がかかわる活動の全体像をどう捕えたらよいかを示してきた。つまり,現場ワーカーを含めた提供側全員と受け手(住民)側を同時に注目し,さらに両者の相互作用から成り立つ《場》の存在を認めた上で,提供側・受け手側・《活動の場》の3つの要素を同一に捕える視点である。この《場的視点》を活用するときは,《活動のあるべき(像)》と実際の活動が一致しているかを,活動当事者だけではなくその活動にかかわらない人(分析協力者)の参加を得て討論をすすめることにしている。PHC研究会のメンバーもこれらの討論の分析協力者として参加し,活動当事者の現場ワーカーが住民(患者)だけを注目するのではなく,提供側の組織的関係を含めて,受け手(住民)側との間にくり広げられる相互作用をダイナミックに捕える過程を体験してきた。そこに至るまでの苦悩,新たな気づき,仕事に対する厳しい姿勢を身近かに知り,同じ現場ワーカーとして学びの多い体験であった。それ故《場的視点》で活動を捕えることは,単なる方法論で済まされることではなく,保健医療活動にかかわる専門職のあり方までも問われることをお互いに再確認できたのである。
このような事例検討会などの場で,読者である現場ワーカーから《場的視点》をよりわかり易く伝えて欲しいと要望されており,今後努力を重ねていかなければならないと受けとめている。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.