連載 保健活動の〈見直し〉から〈見通し〉へ・3
保健活動の《見る目》を養う発想—保健ワーカーの現場活動を振り返る—事例研究を素材に
花岡 真佐子
1
,
松田 正己
2
,
丸地 信弘
2
1慶大医学部附属厚生女子学院
2東大医学部保健学科
pp.286-293
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206654
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はじめに
見えにくい活動の全体像を捕えるには,その活動にかかわる人々や第三者(又は分析者)と《共有の視点》を持つことが必要である。そしてこの《共有の視点》として我々は《場的視点》1)を提唱した。即ち,活動の全体像を捕える場合,《提供=受け手の2者関係》を中心に,両者の相互関係から成り立つ《場》の存在を認めた上で,これら3つの要素を同時に捕えることである2)。実際には《場》の有無を図示することにより,第三者と活動の全体像を共有する。この場合,提供側と受け手側の相互関係で成り立つ《活動の場》という心理的空間には,《活動のあるべき姿(像)》という倫理観が含まれている。
今回は,この《場的視点》を読者に理解してもらうために,事例研究を素材として取り上げてみたい。従来の事例研究で十分に伝えることのできなかった部分を《場的視点》で語り,その図的表現について概説する。これらは活動の全体像をシステム的に捕える《場的な対象認識》の説明をも兼ねることになるだろう。
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