連載 保健活動の〈見直し〉から〈見通し〉へ・1【新連載】
活動の見直し/見通しに場的視点を—保健活動を見る目,語る目,動かす目
丸地 信弘
1
,
松田 正己
1
,
小山 修
2
1東大医学部保健学科
2日本総合愛育研究所
pp.115-123
発行日 1983年2月10日
Published Date 1983/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206629
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はじめに
1978年に本誌上で連載した《プライマリーヘルスーケアを考える》というシリーズは,当時,プライマリーヘルスーケア(以下PHC)の概念を知りたいという読者の声を受けて展開された1〜10)。
従来,保健医療問題を語る時,WHOの健康の定義11)(1946年)を出発点にするのが一般であった。それに対して,PHCは《保健活動のあるべき姿勢(理念)》の定義(1978年,Alma-Ata会議)12)だと考えてよいだろう。だとすれば,PHC概念を使って現場の保健活動を見直すことを考えるのは,ごく自然のことである。ちょうど,Kaprio(WHOヨーロッパ地域事務局長)の提唱する《PHCの4原則》が13)保健活動の評価に使えるかどうかを検討していた我々は,改めて本誌編集部からの依頼を受けて,1980年7月号から《プライマリーヘルスーケアの日本的展開をさぐる》という2回目のシリーズを始めた14〜23)。このシリーズでは,《保健活動は提供側と受け手側が特定の問題改善のため,共有の視点を持って〈活動のあるべき姿〉に沿うべく行動する過程》だと定義づけ,殊にその場合に《活動の場》という両者の心理的共有空問を要素に加えることが,活動のシステム的分析に極めて有効であることを提案し,その理論といくつかの分析事例を紹介した。
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