連載 保健活動の〈見直し〉から〈見通し〉へ・6
個別的ケア活動を場的視点で見直す基本的な考え方—相手の立場に立ったかかわり方を深めるために
花岡 真佐子
1
,
松田 正己
4
,
西村 かおる
2
,
小山 修
5
,
衛藤 幹子
3
,
丸地 信弘
4
1慶大医学部附属厚生女子学院
2衛生病院
3伊藤病院
4東大医学部保健学科
5日本総合愛育研究所
pp.936-944
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206754
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はじめに
日々の保健・医療活動を通して我々が目指すことは,個々の住民(患者)が自己の健康上の問題を意識しながら,より健康的な生活を維持するための諸条件を改善する働きかけを実践することである。そのために我々は,住民(患者)を中心として,その家族はもちろんのこと,他の職種と深いかかわりを持ちながら,保健・医療チームの一員としてどんな役割を果たすべきか,絶えず問い続けている。日々の実践場面では,住民(患者)と自分(現場ワーカー)という個人対個人の関係でかかわることになるが,現場ワーカーに求められる対応も多種多様であり,難しい問題も多いであろう。
ここで現場ワーカーの胸中に生じる不安は,健康上の問題を抱えた住民(患者)との関係を,個人的な感情を抜きにして冷静かつ客観的にみつめ,保健・医療チームの一員として意図的にかかわろうとする態度に関してのものであり,かつそのように行動(実践)できているかということであろう。しかし,日々の忙しい業務の中では十分に考える時間的余裕もなく,問題を抱えながら個個の現場ワーカーの胸中にとどめたままのことが多いのではなかろうか。これでは,専門職としての役割を十分に果たしているかを確信できず,ケアは日々マンネリ化していくだけであろう。
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