連載 保健活動の〈見直し〉から〈見通し〉へ・7
場的視点で癌末期患者の在宅ケアを見直す—個別的ケア検討の実際
西村 かおる
1
,
花岡 真佐子
2
,
衛藤 幹子
3
,
松田 正己
4
,
丸地 信弘
4
1東京衛生病院
2慶応大学医学部附属厚生女学院
3伊藤病院
4東京大学医学部保健学科
pp.988-998
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206762
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はじめに
〈場的視点〉による活動見直しは,提供側と受け手側を押えた上で,双方の相互作用の場である<活動の場>を確認し,〈活動のあるべき像〉との照らし合わせにより実践活動を検討する方法である。先月号では,この〈場的視点〉を用いて,現場ワーカーが日頃直面している個別的ケア活動の振り返りをどう進め,それにより何が見えてくるかについて総論的に説明を行った。今回は,実際の個別的ケア活動を〈場的視点〉で検討すると,それらのことが具体的にどう表わされるかを述べることにする。
ここに紹介する活動事例は,患者の死によって一応の個別的ケア活動の終結を見ている。臨床看護にあって事例を検討する場合は,この事例のように,患者の死亡や退院等で活動の終結を見てから振り返ることが多い。この場合,検討結果がその活動に生かされることは少ないが,同様な他の活動には将来的に活用できる。一方,地域における活動の多くは,難病や,身障,寝たきり老人のように長期間にかかわり,その活動の途中で見直しを行うため,成果はすぐ活動に生かすことができる。このように臨床と地域ではその結果の活用の仕方が異なる場合もあるが,いずれにしても,自分のかかわる活動を考え直すのに有効である。
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