特集 母性とはなにか
臨床からみた「母性」
柴田 芳枝
1,2
1国立水戸病院附属看護学校
2元:国立水戸病院
pp.26-32
発行日 1987年1月25日
Published Date 1987/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207048
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はじめに
「母性とはなにか」となぜ問わなければならないのであろうか。しかしこの問いかけは,人類に女性と男性が存在する限り,これからも続けられていくことであろう。
人間の「母性」は,本能的な母性行動,伝承や学習による適応行動的な母性行動,高度の精神作用による母性愛の3つが混然としたもの1)と言われている。したがって,本能的・適応行動的な母性行動については動物実験などから検証されるとしても,人間における母性行動はそれだけで規定されるものでなく,その時代,場所の文化・社会が作り出す考え方や生活習慣などにより変化し,一概にこれだと断定しえないと考えられる。
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