事例研究
周産期死亡事例からみた母性の問題
山口 延子
1
,
保健婦一同
1千葉県佐倉保健所
pp.241-249
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205706
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I.はじめに
周産期死亡に大きな影響を及ぼす因子として,(1)母の社会的,生物学的特徴,(2)産科的既往歴,(3)妊娠の経過,(4)新生児の出生体重,の4点が指摘される注)。私達はこの指摘された問題に対して,主に生活の面で対応しているわけである。今回,過去実際に何らかの形で保健指導したケースも,できなかったケースも合わせみて,周産期死亡事件を未然に防ぐ手だてとして,保健指導の中で配慮しなければならないことは何かという点を詳細に分析すべく事例を調査し,検討したので報告する。
佐倉保健所は,佐倉市,成田市のほか,6町3村からなる68,000世帯,267,000人を管轄している。このうち今回調査した地域は,佐倉市,成田市である。両地域とも近年になって農耕地の宅地化が著しいが,特に佐倉市においては,千葉市,東京都の通勤圏にあたり,青壮年層の人口増加率が著しい。他方,成田市においても将来成田国際空航の開航に伴い急激な人口増加が推定され,大規模なニュータウンが造成されている(図1,2)。なお,昭和48年現在の第一次産業従事者の割合は,佐倉市9%,成田市16%である。
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