今月の言葉
"母性"について
pp.5
発行日 1957年5月1日
Published Date 1957/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201257
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男性ばかりの世界,あるいは女性ばかりの世界,そんな世界を仮に考えてみると,いやはやどちらも結構ですとは言えないような気がする.やはり,男女とりまぜて,それも両性がおよそ相半ばするぐらいの,現在ありのままの世界の方がよつぽど潤いがあつてよいにちがいない.それを更に一歩進めて言うならば,男性はあくまで男性の特性を発揮し,女性はどこまでも女性の特色を活かして,両性互に相索引し,相求め,相助けて和共の人生を多彩に豊かにしていくのが幸福であると考えられるのである.
ところで,女性の特性・特質とはそも何であろうか.それは女性が母親になることができるという性能,すなわち「母性」という生来の特性に他ならないと私は信ずる.女児には生れながらにしてこの母性の萠芽が備わつている.その母性の萠芽は,幼女期,少女期,青年期と次第に発達成長して,遂に成年期に至つて完全な母性活動を営むものである.
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