[本誌創刊40巻記念論文入選作―テーマ/「21世紀の母子保健」] 佳作
21世紀の社会と母子関係
柴田 芳枝
1
1国立水戸病院
pp.1105-1111
発行日 1986年12月25日
Published Date 1986/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207028
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はじめに
母と子を結ぶ関係は,過去の歴史また我々の現代社会からみて,母子をとりまく社会により大きく影響をうけると思われる。その関係を図1のようにあらわしてみた。図の円周は実線で描かず,波型の不定形なものとする。それは円の中心に位置する子は家庭という小単位の社会に影響をうけたり,またその反対に与えたり大小さまざまな関係が成立していると思われるからである。その関係は母子相互作用・アタッチメントとして立証されている。また母子の関係ばかりでなく,父と子,父と母と子の関係,夫婦という表現の夫と妻という役割の関係もあり,様々な関係が成立する。家庭の中だけでなく,地域社会においては職業人であったり,市民であったり,一般的な社会人としての男性・女性という役割もある。
そのような多種多様の関係が母子に影響を与えている。社会を広大な宇宙にたとえるなら,社会は太陽系であり,家庭を太陽とする。その環境の中で母子は太陽のエネルギーをうけ,地球の諸因子の影響をうけて成長しつづける樹木の幹と小枝であると想像する。
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