書評
田中 栄 編 大島 寧,齋藤 琢,武冨修治,廣瀬 旬,松原全宏,森崎 裕 編集協力「整形外科レジデントマニュアル 第2版」
中島 康晴
1
1九州大学医学研究院整形外科学分野
pp.1074
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202080
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このたび,田中栄先生のご編集による『整形外科レジデントマニュアル 第2版』が医学書院より上梓された.本書は東大整形外科学教室の先生方が中心となって初期および後期研修医を対象に,整形外科診療の基本をまとめられたものである.通読して感じた本書の特徴は,決して疾患の羅列ではなく,目の前の患者さんの症状をどのように捉え,どのように診断し,治療法を選択していくかといった考える過程が極めてわかりやすく記載されている点である.加えて,整形外科の教科書には載っていないが日常診療ではとても重要なこと,例えば他科へのコンサルトやカンファランスでの発表の仕方なども詳しく書かれている.これから整形外科を学ぶ若いレジデントにとって,本書は診断・治療の考え方を養える指南書であると同時に「即役立つ」書籍である.
まず総論が素晴らしい.「整復」「初期固定」「抗菌薬の使いかた」などの基本に加えて,日常診療で研修医が直面するであろうさまざまな問題に対するプラクティカルな対処法が多く盛り込まれている.「注射法(関節穿刺,関節内注射,トリガー注射,ブロック注射)+処方例」では具体的な針の刺し方や薬品の種類・使用量がわかりやすく書かれているし,「術前の評価,他科コンサルト,周術期に中止すべき薬剤」「文献の使いかた・調べかた/カンファランスでのプレゼンテーション」「術後疼痛管理」「小児の診かた」「心構え」などは,上述したように教科書には載っていない,しかし日々の診療では必要な知識である.
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