書評
國土典宏,菅原寧彦(編)「よくわかる肝移植」
川崎 誠治
1
1順天堂大学肝胆膵外科
pp.330
発行日 2012年3月20日
Published Date 2012/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407103983
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時機を得た「肝移植医療」に関する解説書が上梓された.東京大学肝移植チームの経験豊富なスタッフが,それぞれの肝移植における専門分野を中心に分担執筆したものである.序文で編集者である國土典宏教授が書かれているように,「移植を考えなければならない状況の患者さん」を担当している,あるいは「移植後の患者さん」を担当するかもしれない医師や看護師などの医療関係者の方を主に対象としたものである.臓器移植法が改正され,脳死肝移植実施数も増加しつつあるが,それでも肝移植を日本で受けられる患者さんは少数であり,いろいろな基本的制約もある.前述の医療関係者のより良い理解を得て,末期肝疾患の患者さんとそのご家族の,肝移植に対するいたずらな期待とその後の深い落胆を減らそうというのも本書の目的のひとつであり,その点でもわかりやすく納得できる記述がなされている.
非常に手に取りやすいサイズになっていて,通読しなくても,患者さんを傍らにして,すぐに必要な知識を得る,あるいは確認する,というときに,項目も分かりやすく適切な本であると言える.その意味で,外来や病室に置いておくのがお勧めである.コマーシャルのようになってしまったが,肝疾患の患者さんを担当している病院・医院に必携の本として,強く推薦する次第である.
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