書評
―國土典宏・菅原寧彦 編―よくわかる肝移植
坪内 博仁
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1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学
pp.38
発行日 2012年1月10日
Published Date 2012/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105763
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このたび,國土典宏教授・菅原寧彦准教授をはじめとする東京大学肝移植チームの執筆による「よくわかる肝移植」が上梓された.わが国における肝移植は,脳死問題のため,主に先天性胆道閉鎖症,原発性胆汁性肝硬変,劇症肝炎を対象とした生体肝移植がまず普及した.その後,脳死肝移植が認められ,さらに肝細胞癌も対象疾患に加わったが,脳死ドナーによる肝移植の症例は大きくは増えなかった.しかし,2010年7月から改正移植法が施行され,その後脳死肝移植数が飛躍的に増加している現況にある.
肝移植は末期肝不全の最終的な,そして良好な予後の期待できる唯一の治療法であり,それゆえ患者さんやそのご家族,さらには主治医のこの治療にかける期待はきわめて大きい.したがって,肝移植の適応のある患者さんの診療に当たっては,主治医は正しい肝移植医療の知識のもとに慎重かつ適切に対応することが要求される.
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