Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ケプラーの『夢』—魔女狩りと精神障害者
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.1256
発行日 2017年12月10日
Published Date 2017/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201178
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惑星の運動に関するケプラーの法則で有名なヨハネス・ケプラー(1571〜1630)が1609年に書いた『夢』(渡辺正雄・榎本恵美子訳『ケプラーの夢』,講談社)の冒頭部分には,ケプラー自身を思わせる主人公が母親と対話する場面があるが,それはケプラーの母親が魔女として告発される契機ともなった不可思議な対話である.
この作品には,デンマークのティコ・ブラーエのもとで天文学を学んで帰国した主人公ドゥラコトゥスを,母親が喜んで迎えたとして,「私が天文学を勉強してきたことは母をこの上なく喜ばせた.そして,私のいうことと母の知っていることを比べては,もうたった今死んでもいいと叫ぶのだった」という記述がある.
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