緑内障—私の夢
小さな夢と大きな夢
鈴木 康之
pp.91
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907874
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緑内障とは地味な病気である。もちろん,遺伝子とか細胞外マトリックスとか創傷治癒とかアポトーシスとか最新の医学的知見を応用して,われわれの緑内障診療に関する知識の増加はその加速度を増している。しかしながら,やっぱり緑内障の本態は視神経乳頭部における神経線維に対する物理的障害が主体のようであり,そこでさまざまな生化学的変化が起きているのは確かではあるが,あまりに局所的すぎて,なかなかブレイクスルー的な発見に至らない。神経線維が障害されてしまっているために,今はやりの幹細胞による再生治療の応用にも大きなハードルがあることを意識せざるをえない。
治療にしても,一度緑内障で障害されてしまった視機能が,少なくともはっきりと実感できるほどに改善することはまだまだ不可能であり,その残存視機能の維持のために地道な治療を続けていかなくてはならない。
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