Japanese
English
特集 睡眠研究—最近の進歩
睡眠,夢と精神病
Sleep and Dreams in Psychoses
中沢 洋一
1
,
大川 敏彦
1
Yoichi Nakazawa
1
,
Toshihiko Ohkawa
1
1久留米大学医学部精神神経科
1Dept. of Neuro-psychiatry, Kurume Univ. School of Medicine
pp.517-523
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203098
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Ⅰ.精神病の睡眠
1.精神分裂病の睡眠
精神分裂病は発病の初期や,精神症状が悪化すると睡眠障害を伴うことが多い。それが精神症状によって二次的に生じたものか否かの判定は困難なことが多いにしても,精神分裂病の病態生理が不明の今日においては,その睡眠ポリグラフィー的研究を試みる価値はある。
また,夢と精神分裂病の体験的世界の類似性も昔から多くの臨床家によって指摘されているが,REM睡眠の発見で夢の客観的,生理学的な研究の扉が開かれるようになって,精神分裂病の睡眠ポリグラフィー的研究が進められたという側面もある。たとえばFisher1)は精神分析学的な立場から,精神病や精神分裂病の症状は,REM睡眠が覚醒期に侵入した結果生じたという仮説を提唱した。彼は,精神分裂病では内在性のREM pressureが増加しているか,あるいはREM pressureに抵抗するエゴの弱体化があるのだと考えた。
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