Japanese
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特集 歩行訓練のエビデンス
脳性麻痺
Evidence for gait training and cerebral palsy
瀬下 崇
1
Takashi Seshimo
1
1心身障害児総合医療療育センターリハビリテーション科
1Department of Rehabilitation, National Rehabilitation Center for Children with Disabilities
キーワード:
脳性麻痺
,
エビデンス
Keyword:
脳性麻痺
,
エビデンス
pp.195-199
発行日 2017年3月10日
Published Date 2017/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200875
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はじめに
脳性麻痺は,胎児期や周産期に脳に障害が起きることで発生する.0〜2歳にかけて脳は発達の過程で急激に組織化されていき,この際に有効に機能していない脳細胞やシナプスは,効率のよいネットワーク形成のためにアポトーシスなどを起こし刈り込まれていく.脳性麻痺症例の場合,本来は運動発達に必要な脳のネットワークがこの時期に十分機能できていないために刈り込まれ2次災害的に破壊されてしまう.これまでの脳性麻痺の脳障害は,厚生省の定義に代表されるように「不可逆的だが非進行性の病態」とされてきたが,実際には流動的である.脳のネットワーク形成を促進することに関しては,これまで早期療育の観点から多くが論じられてきたが,脳障害を軽減することも治療の鍵となる.Dengら1)は,脳障害を軽減する治療についてシステマティックレビュー(SR)を報告しており,低体温療法のほか,薬物治療として,動物実験レベルではあるが,N-アセチルシステイン,ミノサイクリン,エリスロポエチンなどを有効性が期待される薬剤として取り上げており,今後の発展が期待される.
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