Japanese
English
特集 小児運動障害(運動症)のリハビリテーション
脳性麻痺
Cerebral palsy
瀬下 崇
1
Takashi Seshimo
1
1リハビリテーション病院さらしな
1Sarashina Rehabilitation Hospital
キーワード:
脳性麻痺
,
運動発達
,
股関節
,
ボツリヌス治療
,
側弯
Keyword:
脳性麻痺
,
運動発達
,
股関節
,
ボツリヌス治療
,
側弯
pp.633-638
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202261
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はじめに
脳性麻痺は「発生・発達しつつある胎児または乳児の脳の中で起こった非進行性の障害に起因する運動と姿勢の異常であり,活動の制限を引き起こす.運動障害には,感覚・認知,コミュニケーションも含まれ,その他,認識,行動の異常,てんかんなどの発作性疾患を伴う」1)と定義される.しかし実際には,仮死出生など周産期異常のエピソードがなく頭部核磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging;MRI)でも特に所見のない症例でも,とりあえず脳性麻痺とみなしてリハビリテーションを開始されているケースも少なからずある.「脳性麻痺」患者の14%に何らかの遺伝子的要因があることが示唆されている2).そうした「脳性麻痺っぽくない」ケースが,実は○○症候群だったという事例が遺伝子解析技術の進歩から今後は増えてくることが予想される.
脳性麻痺は1,000出生あたり2例程度の頻度で発生し,オーストラリアの疫学調査では麻痺型は痙直型(80〜90%),ジスキネジア(ジストニアやアテトーゼ,舞踏病など)(4〜7%),失調型(4〜6%),低緊張型(2%)と痙直型が大半を占める3).運動障害は走行可能例から寝たきり例まで重症度が幅広く,そのほか合併症として,慢性痛(75%),てんかん(35%),知的障害(49%),筋骨格の異常(股関節脱臼など:28%),行動障害(26%),睡眠障害(23%),視覚・視力障害(11%),聴覚障害(4%)4)など脳障害に関連して多彩な合併症を呈することから多くの診療科が集学的に診療に当たる必要があり,かかわるものとして他科の治療に関して基礎的な知識は理解していることが求められる.
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