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特集 障害学Update
障害とは何か
What is Disablement.
伊藤 利之
1
Toshiyuki Ito
1
1横浜市総合リハビリテーションセンター
1Yokohama Rehabilitation Center
キーワード:
国際障害分類
,
医学モデル
,
社会モデル
,
環境因子
Keyword:
国際障害分類
,
医学モデル
,
社会モデル
,
環境因子
pp.887-892
発行日 1996年10月10日
Published Date 1996/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108202
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はじめに
障害をどうとらえるか,どのような視点から障害をみるか,それによってわれわれリハビリテーション関係者の日常臨床の姿勢が大きく左右される.われわれが対象としている障害は確かに疾病や外傷の帰結であり,その意味では個人に帰属する問題である.しかし,人間が社会的存在である以上,障害もまた個人にのみ帰属するのではなく,つまるところ所属社会の規範と環境因子によって決定されるものと理解される.単純な言い方をすれば,障害とは個人と所属社会との間に存在する障壁であるといえよう(図).
もちろん医療従事者にとっての主なアプローチは,障害を「医学モデル」としてとらえ,個人の機能や能力障害に直接的に介入することである.しかし,リハビリテーションの最終ゴールが人間の復権である限り,障害を「社会モデル」としてとらえ,社会環境によって生じるさまざまな問題についても念頭に入れてアプローチしなければ,真にリハビリテーションを施行したことにはならないであろう.
そこで,本小論ではWHOが提案した国際障害分類試案を軸に,障害の概念や用語の問題,障害の範囲など,最近の話題を含めいくつかの問題点について解説する.
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