Japanese
English
特集 心疾患リハビリテーションの新しい考え方
慢性期心疾患のリハビリテーション
Cardiac Rehabilitation in the Chronic Phase.
峯尾 喜好
1
,
木村 彰男
2
,
千野 直一
2
,
出江 紳一
1
Kiyoshi Mineo
1
,
Akio Kimura
2
,
Naoichi Chino
2
,
Shinichi Izumi
1
1静岡市立静岡病院理学診療科
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Shizuoka City Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
心疾患
,
慢性期
,
運動療法
Keyword:
心疾患
,
慢性期
,
運動療法
pp.1047-1052
発行日 1991年11月10日
Published Date 1991/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106939
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はじめに
虚血性心疾患(心筋梗塞と狭心症)の急性期リハビリテーションが本邦においても定着しており,その内容も運動療法,栄養指導,そして日常生活指導などで包括的に構成されている.しかしながら,運動療法に限ってみると,運動負荷量が少なく治療期間が短いために,心身の回復が十分に得られていない症例がみられる.ここ数年来,一部の大学病院や循環器専門病院では,虚血性心疾患患者のうち急性期(発症から3~4週間まで)の運動療法を行ったときに,心不全などの著しい合併症を認めなかった症例に対して,さらに負荷量の多い運動療法を試みてい1~3).一般的に急性期を過ぎてから1~2か月の期間を回復期とし,それ以後を維持期としており,それぞれの期間の運動療法で精神身体機能の改善2~6)を認めたことから,急性期を過ぎた後の運動療法の発展と普及が期待される.
一方,虚血性心疾患以外の運動療法については系統的な報告が少なく,専門施設においてでさえ必ずしも十分に進められていない.近年,慢性心不全状態における骨格筋の病態生理学的な知見7~10)が得られるとともに,心筋症や心臓手術後に運動療法が有効であることが報告11,12)された.これらのことから,種々の心疾患や心不全状態における運動療法の実践が検討されなければならないと考えられる.
本稿では虚血性心疾患の回復期および維持期,そしてその他の心疾患の慢性期のリハビリテーションのうち,運動療法についての現状を一総合病院の立場から紹介する.
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