巻頭言
悪性腫瘍とリハビリテーション
水間 正澄
1
1昭和大学医学部付属病院理学診療科
pp.769
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106874
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ここ数年,理学診療科に依頼される悪性腫瘍の患者が増加しているように思われる.各科の主治医の認識に変化が起きているのかどうかは定かではないが,その依頼の趣旨は,具体的な依頼目的を明記しているものも増えつつある.一方,何かリハビリテーションで行えることはないか(逆に言えば,自分のところで何もしてあげることができなくなったということか)などというものもあり,様々である.いずれにせよ,いろいろな形で,悪性腫瘍,特にterminal stageにおけるリハビリテーションの関わりが増えつつあることは事実である.
悪性腫瘍の積極的なリハビリテーションといえば,骨腫瘍における切断と義肢をはじめとして,肺癌における肺理学療法,乳房切断術後の拘縮・浮腫対策,転移性骨腫瘍による病的骨折の対策などであった.しかし,末期におけるリハビリテーションの関わりは余り積極的に行われてきたとは言えなかった.従来はたとえ末期癌患者の依頼があっても,物理療法・ベッドサイド訓練・安楽姿勢のpositioning・ROM訓練等を行っていたのが現実であり,訓練目標も消極的なものであり,患者の状態が悪ければすぐに中止といった一時的に関わるケースが多かったわけである.
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