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特集 発熱の診療ストラテジー
悪性腫瘍
Fever of unknown origin in patients with neoplastic disease
山田 治
1
Osamu Yamada
1
1川崎医科大学血液内科
pp.169-171
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900047
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ポイント
・38℃以上の発熱が3週間以上継続し,入院後1週間の精密検査を行つても,原因がわからないものを不明熱と呼ぶ1).悪性腫瘍の発熱は不明熱が鑑別の対象となる.不明熱の原因としての悪性腫瘍は感染症や膠原病との鑑別が必要である1)2).
・癌年齢で感染症や膠原病が除外された場合には,積極的に基礎疾患としての悪性腫瘍を検索する(画像診断,肝・腎・リンパ節・骨髄の生検).
・寝汗.日常体重に比べ10%以上の減少.血尿・血便の有無.
貧血,黄疸,皮膚病変,表在リンパ節腫脹,肝脾腫などの診察所見.
・悪性腫瘍としては悪性リンパ腫,白血病および腎臓・肝臓の腫瘍が高頻度に発熱を示すが,これ以外のどの悪性腫瘍でも発熱を引き起こし得る.ホジキン病の27%(ただし,非ホジキンリンパ腫は3.5%),転移性肝腫瘍の23%,ウイルムス腫瘍の20%,腎細胞癌の11%で悪性腫瘍関連の発熱を認める3)(→1).
不明熱の原因検索として試験開腹を行うと,25~40%の症例で原疾患が判明できる.そして,その約半数は悪性リンパ腫である.
一方,悪性腫瘍の診断が確定した症例で不明熱を示す頻度は0.7%と極めて少なく,発熱の原因は感染症(57.4%)の合併が主である4).
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