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特集 血管カテーテルの治療への応用
薬剤の注入
悪性腫瘍に対して;四肢の骨・軟部悪性腫瘍
The pre-operative intra-arterial infusion therapy of anti-cancer agents in malignant bone and soft tissue tumor of extremities
赤星 義彦
1
,
武内 章二
1
Yoshihiko AKAHOSHI
1
,
Shoji TAKEUCHI
1
1岐阜大学整形外科
pp.349-356
発行日 1980年3月20日
Published Date 1980/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207396
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はじめに
悪性骨腫瘍とくに骨肉腫,Ewing肉腫は10〜20歳に発生するきわめて悪性度の高い腫瘍であり,しかも四肢の場合は罹患肢の切断あるいは関節離断術により,確実に腫瘍の完全摘出が可能であるにもかかわらず,その生命に関する予後は他の臓器癌と比較すると著しく不良である.これは骨肉腫そのものが癌腫に比較してより増殖能の強い未分化型のものが多く,血行性播種がきわめて早いことが大きな要因と考えられるが,その早期診断は現在の段階ではほとんど不可能に近く,われわれがX線診断を下し得る時期には,すでに腫瘍の骨髄内浸潤と破壊はかなり進行しており,癌腫でいえば進行癌に匹敵する段階にあると考えられる.
また,骨肉腫の好発年齢である10〜20歳代の骨髄は重要な造血器官としての機能を営んでおり,腫瘍細胞の一部は常に血中に遊出する機会を有している.しかも血中に遊出したいわゆる"loose tumor cells"とその肺栓塞は環境の変化によつて肺転移巣形成を来す可能性を有しているにかかわらず,現在の肺X線診断では,この病態を正確に把握することは困難である.
したがつて,骨肉腫の治療にあたつては,その全経過において全身性疾患としての要素を念頭におくべきであり,局所腫瘍の根治手術に際してはつねに術前・術後の化学療法の併用が必要である.
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