Japanese
English
特集 進行性疾患とリハビリテーション
悪性腫瘍による脊椎脊髄障害のリハビリテーション
Rehabilitation for the Patients with Cancer related Spinal and Spinal Cord Damage.
水落 和也
1
,
加藤 靖子
1
,
安藤 徳彦
1
Kazuya Mizuochi
1
,
Yasuko Kato
1
,
Norihiko Ando
1
1横浜市立大学医学部リハビリテーション科
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Yokohama City University, School of Medicine
キーワード:
悪性腫瘍
,
脊髄損傷
Keyword:
悪性腫瘍
,
脊髄損傷
pp.563-567
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107896
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はじめに
大学病院では入院患者の多くが悪性腫瘍であるため,リハビリテーション科でも悪性腫瘍に伴う身体障害に対する医学的リハビリテーションを行う機会が多い.佐鹿ら1)は大学病院での悪性腫瘍による入院患者の2%がリハビリテーション科に依頼されたとし,下枝ら2)はリハビリテーション科受診患者の8.2%が癌患者であったと報告している.
最近の化学療法の進歩3)により癌の生命予後は著しく改善しているが,身体障害を持つ悪性腫瘍患者はかえって増加する傾向にあると思われ,医学的リハビリテーションの果たす役割も大きくなるものと思われる.さらに,悪性腫瘍は言うまでもなく予後不良,進行性であるため,総合的なリハビリテーションが,医学的問題のために十分に行えないことも多いので,社会的リハビリテーションについても,病院のスタッフが中心的役割を果たすことになる.
一方,大学病院や総合病院では,近年の医療制度の改変により,悪性腫瘍を中心とした進行性疾患といえども病状が安定し,集中的な医学的な管理が不要と判断された時点で退院をするというのが一般的な傾向であり,身体障害をもつ患者に対してリハビリテーション科が自宅退院に向けて果たす役割はきわめて大きくなっている.
本稿では,悪性腫瘍に伴う身体障害のなかでも障害像が明確である点,リハビリテーションの技術的対応が確立している点,社会的リハビリテーションについてもさまざまな福祉サービスが行いやすい点などにより,比較的リハビリテーションを進めやすい脊椎脊髄障害に焦点をあて,当科における現状を調査し,進行性疾患のリハビリテーションの観点から考察を加えた.
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