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増大特集 リハビリテーションQ&A
Ⅸ その他
56.悪性腫瘍(がん)のリハビリテーション
Cancer Rehabilitation.
辻 哲也
1,2
Tetsuya Tsuji
1,2
1慶應義塾大学医学部腫瘍センターリハビリテーション部門
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Division of Rehabilitation Medicine, Oncology Center, School of Medicine, Keio University
2Department of Rehabilitation Medicine, School of Medicine, Keio University
キーワード:
周術期
,
末期がん
,
緩和医療
,
悪液質
,
体力
Keyword:
周術期
,
末期がん
,
緩和医療
,
悪液質
,
体力
pp.764-769
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102533
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Q1 がん患者になぜリハビリテーションが必要なのか?
がんは日本人の死亡原因の第1位であり,年々増加傾向にある.わが国では疾病対策上の最重要課題として対策が進められ,現在では集学的がん治療により,少なくともがん患者の半数以上が治るようになった.がんの治療を終えた,あるいは治療を受けつつあるがん生存者は2003年には298万人であったが,2015年には533万人に達すると予測されており(いわゆる“2015年問題”)1),がんが“不治の病”であった時代から“がんと共存”する時代になってきている.しかし,“がん難民”という言葉に代表されるように,治癒を目指した治療から生活の質(quality of life;QOL)を重視したサポーティブケアまで,切れ目のない支援をするといった点で,日本のがん医療はいまだ不十分なのが現状である.
がん患者では,がん自体に対する不安は当然大きいが,がん自体による直接的な影響や手術・化学療法・放射線治療などの治療の過程において生じうる身体障害(表1)2)に対する不安も同じくらい大きいものである.がんの進行もしくは治療の過程で,認知障害,嚥下障害,発声障害,運動麻痺,筋力低下,拘縮,しびれや神経障害性疼痛,四肢長管骨や脊椎の病的骨折,上肢や下肢の浮腫などさまざまな機能障害が生じ,それらの障害によって基本動作や歩行,日常生活動作(activities of daily living;ADL)に制限を生じQOLの低下を来してしまう.これらの問題に対して,二次的障害を予防し,機能や生活能力の維持・改善を目的としてリハビリテーションを行うことは重要である.
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