Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
緒言
本邦において,環境制御装置(Environmental Control System 以下ECSという)に関する本格的な研究開発が開始されるようになった契機は,昭和52年11月に東京で開催された,米国商務省主催の「リハビリテーションUSA」展であると言える.すなわち,VAPC副所長Dr. Peizerにより,電動車イスや電動義手をはじめとする出展機器の一部を,わが国で評価してほしい旨の依頼があり,数台のECSが臨床的に使用されるに至ったのである.(これに関する評価については文献(1)参照)
現在では,この臨床評価を担当した4機関(東京都補装具研究所・神奈川県総合リハビリテーションセンター・中部労災義肢センター・兵庫県リハビリテーションセンター)に総合せき損センターが加わり,環境制御装置研究開発連絡協議会(代表:土屋和夫中部労災義肢センター所長)が発足し,各機関の研究開発状況の報告や情報交換により,ECSの統一仕様作成を行っている.
ECSの研究開発が,少しずつではあるが,このように進展しているにもかかわらず,国内におけるECS使用率は極めて低く,一部のリハビリテーションセンターや施設などで試験的に設置されているにすぎない.この原因として以下の2点が考えられる.
① 国産品の欠如
②(ECSに関する)情報不足
①については,欧米市販品の輸入による対応が考えられるが,価格や保守の問題に加えて,種々の仕様が本邦の生活様式に適合しないため,そのままでの使用は困難であり国産品の開発が待たれる.
②については,一部の機器に関する紹介は散見されるが,多機種にわたる統一的な仕様説明や使用例の報告はほとんど見うけられないことがその大きな原因と考えられる.
本論文では,上記の②に関し,筆者らの現在に至るまでのECS研究開発過程において入手した各種市販ECSの資料をもとに,それらの構成・操作方法などについて,若干の考察を加えて報告する.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.