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まえがき
ベッドは,健常者にとっては「休息」を与えることが本来の目的である.しかし医療の分野においては,診療・手術・介助,等とその性格も大きく分かれている.とりわけリハビリテーション医療では,「介助」の機能が重要な役割りを占めており,対象とする患者の症状や残存機能により多少異なるが,概ね以下の機能が必要とされている.
i)姿勢補助
ii)褥瘡防止
iii)車椅子等への簡便な移動
iv)訓練器具等の取り付け
v)トイレ(排尿・排便)動作
vi)その他
i)については,自動式および手動式のギャッチベッドが多数市販されている.ii)は,一般的にはべッド本体ではなく付属のマットレスを改良し,水の入ったものや圧縮空気を吹き出すもの,あるいは経時的に圧力分布を変化させる方式等が用いられている.またベッド本体に組み込まれている装置としては,電動式で体位変換を行う方式を用いたものが一部市販されている.iii)は,ベッド本体の高さを変える方式とリフトを使用する方式があり,前者はその機能を組み込んだベッドが市販されているが,後者は単体の製品しか市販されていない.iv)は,ベッド本体に4本の支柱(既存のものでも可)を取り付け,その上に枠を組み訓練装置や牽引装置を設置する方法で行われている.v)は,ベッド本体の臀部に相当する部位をくり抜きベッド上のマットレスと同じ高さの便器を挿入する方式と,ベッド本体はそのままで患者の臀部をエアマット等で持ち上げておき,その隙間に小型便器を挿入する方式とがあり,いずれも市販されている.vi)については,取り付け部品として多種市販されている.
このようにベッドは多くの機能を必要とするが,さらに最近注目を集めている環境制御システムの被制御機器としても欠くべからざるものであり,基本的機能とともに十分な操作性能が要求されている.
そこで,ベッドにおける各機能と操作系の設計ならびに試作を行ったので報告する.
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