Japanese
English
研究と報告
車イス移動用リフトの開発―屋内外の連絡用として
Development of the Lift for the Wheelchair.
奥 英久
1
,
相良 二朗
1
Hidehisa Oku
1
,
Jiro Sagara
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
1Industrial Designer: Hyogo Rehabilitation Center.
キーワード:
車イス移動用リフト
,
垂直昇降式水圧リフト
Keyword:
車イス移動用リフト
,
垂直昇降式水圧リフト
pp.991-996
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104440
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緒言
本邦においては,近年の福祉行政の効果が僅かずつではあるが浸透してきており,欧米に比べて満足な状態とはいえないまでも,電動車イスなど日常生活用具の普及に目覚ましいものがある.
しかし,一般社会とりわけ身体障害者の周囲環境をみると,至る所において彼らの積極的な活動意欲を阻害する要素が見うけられる.たとえぱ電動車イスを例にあげると,平坦路を走行するだけの機能としては十分な性能を有しているにもかかわらず,僅かな段差や溝などを容易に通過できないのが実情である.諸外国においては,生活様式の違いもさることながら,古くから身体障害者に対する社会的責任感が発達しており,本邦との歴然たる差を感じざるを得ない.このような屋外の環境改善は,道路行政を含む大幅な改革が必要であり,早急な解決は困難と考えられる.
これに対して,屋内から屋外(またはその逆)への移動は,身体障害者自身が管理可能な環境下であるため,比較的容易に改善可能と考えられるが,日本独特の家屋構造や住宅事情により実現が困難である.すなわち,最近の身体障害者向け住宅のように最初から車イス移動用スロープが設置されている場合は例外であるが,日本における既存の家屋のほとんどが,欧米の家屋のように庭のスペースを十分広く確保していないため,簡単なスロープの設置もままならないのが現状である.したがって,スロープに代わる新しい移動装置が必要であり,その要求度もきわめて高いものと考えられる.
筆者らは,この要求を満たす一つの装置として,垂直昇降式の低価格なリフトを開発したので報告する.
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